福島だより2-食品の放射線物質検査やっと-
福島県 菅原宏一
東京電力福島第一原子力発電所が引き起こした放射能空中飛散事故以来、あちこちの農産物等から放射性物質が検出され、食品衛生法に基づく「飲食物に関する暫定規制値(野菜類・放射性セシウム:500Bq/kg)」を超えて出荷停止を受けるものが相次いだことはご承知のとおりである。福島市に住む我々の自家菜園の生産物も安全性は疑わしいのだが、定年退職後の間もなく高齢者に区分けされる身には、健康被害の問題は恐れるに足らずとばかり例年通り自家産野菜を消費していた。ただ、人様に差し上げるのは恐れ多く、進んでもらってくださる人以外には行き場が無かった。一般市民向け食品放射性物質測定施設の早期開設を望んだが、福島市に「放射線モニタリングセンター」1ケ所が開設されたのが2011年11月14日だった。1日の処理能力が30件というところに開設初日で予約200件、1週間で1100件とたちまち2ヶ月待ちの状況だと聞き、とても測定を申し込む気にはなれなかった。それでも、3ヶ月経ったら混雑は緩和されているだろうと、冷凍ブルーベリーの検査について2月16日電話を入れてみた。返事は、3月14日持ち込みならOKとのことで、まだ1ヶ月待ちの状態にあったが一応予約した。
その後、2月末に「3月1日から市役所各支所で食品の放射能簡易測定開始」の回覧通知があったので、早速3月1日に吾妻支所に塩蔵ワラビの検査依頼の電話をしてみた。すると、同日午後の持込みに間に合うとのことで、わらび1kg強を刻んでポリ袋を二重にして持ち込んだ。結果は7日に郵送されてきたが、セシウム137が24Bq/kgだった。ワラビは初夏に採りたてを何度か食べてはいたが、これで大丈夫だったと類推していいだろう。この日、小林芳正さん(全農研第40回大会の特別講演者)主宰・有機栽培自給菜園の会勉強会を3月14日開催との案内葉書も届いていた。これに出席すれば、ブルーベリーを放射線モニタリングセンターに持ち込むことはできない。8日、吾妻支所に電話を入れてみた。すると、翌日持ち込みでできるというので、予約してモニタリングセンターへの3月14日持ち込み分をキャンセルした。9日に持ち込んだブルーベリーの検査結果は、郵送で13日に届き、セシウム134が38、セシウム137が46、放射性セシウム合計84Bq/kgという結果だった。ワラビ、ブルーベリーともに放射性物質「検出せず」ということにはならなかったが、どちらも暫定基準値のみならず、来る4月1日からの新基準値(100Bq/kg)もクリアしていたことで少し安心できた。
これが、「状況少し前進」といえる大震災1年後の状況だ。昨年夏のうちからこの食品放射性物質測定をやってもらえていたら、福島県民はどんなに安心だったことか。今は作物収穫期ではないので、貯蔵食品の放射性物質測定をすぐにやってはもらえたが、生鮮野菜が出回る春以降のスピード感はどれほどのものか?また、原発事故2年目の放射性物質の作物への移行はどんな具合になるものか?思案(不安?)はまだまだ続く・・・・・。
(3月13日記)