会報229号 巻頭言 2012年8月4・5・6日 全農研大会へ

 常世の国、茨城大会にぜひ参加を 

                                        茨城:髙栖 敬
 今年の全農研大会を茨城で開催することになりました。茨城での大会開催は今度で3回目となります。1980年に10回という節目の年に水戸で開催、その後1995年に25回大会を筑波で開催しました。3回目は農業の盛んな石岡市の八郷地区を中心に、これまでの取り組んできた、地域から学ぶ取り組みの一貫として開催します。八郷地区は周囲を筑波山・加波山などに囲まれた風光明媚な所です。明治初期に日本東北地方を旅したイサベラ・バードは米沢地方(置賜地方)をアジアの「アルカディア」(桃源郷)と称し絶賛しましたが、それに劣らず八郷地方も農村景観の美しい土地で、都会から多くの学者や文化人が移り住み、また脱サラで農業を営む新住民が増えています。 
 また茨城は、かつて常陸の国とも言われ、常世(とこよ)の国とはこの常陸の国ではないかといい伝えられています。常世とは永遠に変わることのない国、つまり神仙思想に見える不老長生の国と言われています。常陸の国は面積が広大で海山の幸に恵まれ、長生きする国ゆえに常世と言われました。現実にミカンもリンゴ作れる所から何でもできる土地と言われます。そうした土地柄が農業生産物全国第2位という農業の盛んな所となっているのでしょう。
 そうした豊かな大地も、先の大震災によって家屋の損傷、津波の被害などの被害をうけました。震度6弱の地震で東海2号炉の原発は外部電源喪失、バックアップ発電機3台のうち1台が停止、あわやの事態となりました。また、福島原発事故によって放射能に汚染され、野菜や椎茸などの品目で出荷ができない状況が生じました。この問題は産直などで取り組む農家に大きな影響を及ぼしています。一度このような問題が起きると、取り返しがつかないということを日々痛感しています。
 このような地で、困難な中でも多くの農家や農業関係者が頑張っています。農業後継者作りに取り組むJA八郷の取り組みや、都市と農村の交流活動を進める里山学校の実践、そして地元で頑張る農家や農業高校の取り組みなどがあります。これらを一堂に会して相互の実践交流と研究を深めたいと思います。大会は8月4・5・6日に筑波山麓で開催する予定です。多くの方の参加をお待ちしています。