農と食を担う第48回京都・大阪大会参加講師陣等の紹介

2018年09月06日(木) 10:24 pm   事務局だより

全農研京都・大阪大会の講師等の紹介
大会講演講師
土屋英男氏 京都教育大学名誉教授。担当 技術教育専修 栽培  現広島校国際学院大学教授。全農研会員。日本教育学会会長。今回の大会企画に全面的にお世話になりました。
栽培技術および自然環境問題に関する教育的課題、栽培教育と環境教育のもつ教育的意義について研究されています。特に先生のお考えによると、いじめや登校拒否など子ども達を取り巻く状況は深刻さを極めている。この原因は子ども達が生命を大切にする気持ちを育て、友達・周りの人たち・動植物に対する優しい思いやりの心を育てる教育が教育現場で十分行われていないからではないか。こうした問題の解決には動物を飼う(飼育)、植物を育てる(栽培)などの「自分より弱いものの世話を子ども達に体験させる」活動こそが大きな効果をもつ。技術・家庭科は、この問題に実践的に対処できる中学校で唯一の重要な教科であると意義づけられています。
調理実習のコーディネイト、講師
湯川夏子氏 京都教育大学教授  家政科  今回の調理実習では京都教育大学の施設を使用させていただくなどお世話になります。研究分野は食生活学、食教育。2003年より「料理療法」の確立をめざし、高齢者施設における実践活動をもとに、認知症高齢者を対象とした料理活動を支援する研究をされています。また味覚教育、および食文化に関する研究にも従事。中学校「技術・家庭科」における栽培と調理実習の連携についても研究されています。食と農の連携の大切さをお話いただきます。
調理実習講師
竹中徹男氏 1957年創業の京料理店清和荘の三代目主人。料理はもちろん、建物、室内、庭、接客等訪れた人にいい時間を過ごしてほしいと、細部にわたるこだわりを大切にされています。
井戸からくみ上げた京都の美味しい水で調理しているので、とてもしっかりした出汁がでます。使用する野菜は無農薬・減農薬はこだわりをもって生産者に特別に栽培を依頼。京料理の基本と伝統を大切にしながらも新しい食材や調理技術に向き合い、旬の食材の真髄を伝える料理を追求されています。同志社女子大学講師として食の担い手育成にも活躍中。NPO法人日本料理アカデミー地域食育委員会副委員長として日本料理の良さと楽しさを広く発信されています。
リレートーク報告者紹介
田中 博氏 全農研会員。岐阜県飛騨市立河合小学校を退職。現在同校と宮川小学校で理科の非常勤講師。実践記録「百姓になれ」は以前の勤務校古川西小学校での総合的な学習で米作りにとりくんだ至極の実践です。生産者の立場を理解させるために子ども達に苗作りから、代掻き、栽培管理、収穫、商品にするまですべての工程を学ばせ、日常の水管理もさせました。さらに、子ども達にデーターをとらせるなど科学的にも学ばさせました。また、地域の人達(元営農指導員)、保護者の協力を得ながら、教員間で協力して学校として取り組まれたことをお話いただきます。
丸山敏夫氏 京都府相楽東部広域連合立笠置中学校を退職。現在同校で技術・家庭科の非常勤講師をしながら、京都教育大学大学院 技術教育専修2年。教科教育を研究されています。露地栽培した収穫物を家庭に持って帰らせ、家族と一緒に食べて感想をまとめさせるなど旬の本来の美味しさを味合わせる。そのことは子どもの学習意欲を高める食育でもある。生物育成はまねごとでなく、現実の生活に繋がる。学校では技術職員さんなど協力をえるなど教育実践を進める上での大切なこともお話しいただきます。
那波和志氏 全農研会員。京都府立木津高校農業科教員。「なぜ」「どうして」と言う感覚を大切に農業を学ばせておられます。水稲の無投入栽培(無化学肥料・無農薬)は18年目に入りました。環境負荷が少なく、人と生物が共存できる農業を模索しておられます。
木津高校農場では、GLOBALGAPの認証を京都府で初めて取得するなど農場運営においても頑張っているごく普通の農業教員であることを強調されています。
盛岡明峰氏 京都教育大学大学院 技術教育専修2年。中学校の技術科教員志望。昨年開催された関西集会で、生物育成の実習教材活用の現状と課題について報告していただきました。京都府内の中学校を調査し、容器栽培に頼り切っている実習授業は教員にとって実践しやすいが、生徒の意欲を高めることにつながらない。畑での実習は生徒が五感を使い苦労し、達成感を味わい、食の有り難みを知ることができる。そのために校庭の畑地化など教員や学校の努力が求められていると問題提起しています。
オプション見学先紹介
石割照久農園 石割照久氏。市場に出さないで、契約した百貨店やスーパーや飲食店のみに野菜を販売。畑にある野菜はオーダーメイドで、海外にしかない野菜を栽培することもある。サイズも飲食店の要望に合わせ、最もおいしい状態で収穫。オンリーワンのノウハウをもって臨機応変な対応ができるのは、企業にも勤めておられた経験あるからです。
伏見酒蔵『月の桂』社長 増田徳兵衛氏 元祖「にごり酒」で全国に名高い「月の桂」は創業300有余年の伏見の中で古い蔵元です。季節感と個性を大切に日本酒を飲むだけでなく文化として楽しむことを提案。
また、平成7年から伏見の特定農家と契約し社長自らも田植えをして無農薬有機栽培米「祝」を育て平成8年から、アルコール度数8%の新タイプの純米酒や発泡性のある酒を発売し、海外からの引き合いも多いそうです。今回特別に酒蔵を見学させていただきます。
ジョイフル文蛾 平田宗子氏 オーナーシェフ。飲食業40年余、その間初代京野菜マイスター、京の食育先生として活動。京野菜を使ったドレッシング、スープ、ジャム、弁当、おせちの開発・販売など”普段着の京料理”の普及に勤めておられます。京都美山にも何度も調理実習に来ていただき、京の伝統野菜「大内かぶ」の新しい食べ方を提案していただいています。
宿泊場所
聖護院御殿荘 聖護院門跡は、平安神宮の北、京都大学の南に位置し、その境内には、重要文化財である書院、光格天皇ゆかりの「一夜造りの御学問所」「お茶室」などが当時のおもかげをそのままに残し、その一郭を宿泊施設として解放されたのが「聖護院御殿荘」です。
菊香荘 東映京都撮影所門前。多くの映画人が宿としてきました。広隆寺に近接して静かなたたずまいのなかにある隠れ家的な存在です。

農と食の連携が大切 土屋英男京都教育大学名誉教授、湯川夏子京都教育大学教授に聞く

2018年09月04日(火) 5:27 pm   事務局だより