会報231号 巻頭言
「シルバー農園生きがい」で中山間地農業の活性化を
小塚 善三(岐阜)
今年で中津川市立阿木高校を定年退職して、現在恵那市岩村町(中津川市阿木のすぐ隣)にある果樹園(リンゴとナシの栽培)の一員として農作業に従事しています。
この果樹園の特徴は、その創始者の一人である西尾源彦氏の言葉に「後継者不足・過疎化・高齢化・転作などによる意欲の減退がすすみ、幾百年も百姓の汗のしみこんだ田畑の耕作放棄が増加する状況は耐えられないものです。行政や経済機構に不平をいうだけでは解決しないし、当面できそうなことをできる者で始めようと仲間に呼びかけ、果樹生産組合「豊楽園」を設立しました。中山間地の農業の活性化は、若い後継者がいないから、農業では生活できないと責任を転化している限り進まないと思われます。今ここに生活している者が知恵を出し合い、力を合わせて行動することが前提であり、そこから、また新しい運動が起こってくるものと思います」とあるように、農業を何とかしたい、地域の活性化を高齢者も含めて考えたい、との思いで「シルバー農園生きがい・豊楽園」と名付け、永年生の果樹をあえて栽培することにより、生きがいとやりがいを持って取り組もうとされたものです。昭和60年ころに、3名の組合員で始められ、現在では当初の組合員は1名となり、その方も高齢のため引退され、一時は存亡の危機もあったのですが、3名の方々の息子さん夫婦が中心となり、なんとか支えて、現在に至っています。
現在の中津川市阿木の人口は2600人、そのうち児童の割合は9%、高齢化率は34%で10年後の予測では47%となり、この点だけとらえると限界集落に近づく状況にあります。地域ではなんとか活性化を図るために「まちづくり・むらおこし・いきいきねっと」という組織を作り取り組んでいます。阿木高校もその活動に参加して地域とともに歩む取り組みを進めてきました。このような取り組みの中で、地域を発見し、人々の新たなつながりが生まれると思います。退職後の私の取り組みもそうした地域の活性化の一助になればと考えています。全農研の退職者の多くが、農業と関わり農業問題に正面から取り組んでいます。そうした取り組みとともに、自分の好きな果樹の栽培を生きがいにして、第二の人生を楽しみたいと考えています。
──────────────── もくじ──────────────────
巻頭言:小塚善三・・・・・・・・・・・・・・1
実践記録 6 高坂繁富 7 池上秀平・・・・・2・6
「FFJ公開質問状」の結末:事務局・・・・・・8
農業クラブ改革のその後:影 治郎・・・・・・8
放射能汚染を土から除き有機農業を稲葉光國・・10
会員通信:可児昭治 ・・・・・・・・・・13
会報NO.230・研究誌35を読んで・・・・・・・14
農業のメッカ「八郷」、茨城大会にぜひ参加を・・15